• ウィルコラ

    COVID-19により世界各地で行われている移動制限、それにより動物に正の影響をもたらしているとされている事例が報告されているようです。船の出入りが大幅に減少し、イルカが多数目撃されるようになったトルコの港、観光客が減り、動物の行動範囲が拡大していると考えられてるタイの国立公園のジュゴン、アメリカのヨセミテ公園のシカ、ボブキャット、クマなど、世界各地で報告が相次いでいます。また、密輸も難しくなっているため、違法な野生動物の取引は減少傾向にあるとする報告もあるようです。

    その一方で、この移動制限により、観光客が減少したことで、観光収入が減り、生計への打撃が大きい地域や、常時いる観光客の存在が障害となり、ある程度、密猟が抑制されていた地域では、密猟や違法伐採が増加し、動物にとって負の影響が懸念されている事例も出ています。

    ミャンマーのマングローブ林でも、4月末から5月上旬に現地の協力者を通して行った聞き取りによると、違法伐採の増加、非持続的な漁業と密猟の増加が懸念される状況にあることがわかりました。移動規制により街のマーケットが閉鎖され、漁師が魚を売ることができる場所は周辺の村に限定されます。ところが、村のマーケットでは街のマーケットよりも利益が少ない上、一度に数をさばききれないため、同じ利益を上げるためには村から村へとボートで移動することになります。それに伴い、必要なボートの燃料も増加することとなり、今までと同様の利益を得ることは非常に困難になっています。別の収入源として、生物資源に頼らざるを得ない状況になっていますが、この状況下では、法的措置に頼るという強硬策は不適切だと考えています。

    そこで、WilColaでは、アメリカの個人から緊急助成を受け、保全に関する仕事を創出し、COVID-19の影響で大きく減少してしまった収入の代替とする小規模プロジェクトを始めました。COVID-19が収束し、生活が元通りになるまで、わずかでも貢献していきたいと思います。

    仕掛けられていたくくり罠を壊した跡(COVID-19の前に撮影された写真)

    参考文献:

    2020年5月21日付 英国・ガーディアン紙 “ wildlife-national-parks-covid-19-shutdown-death-valley ”

    2020年4月29日付 英国・BBC “ Coronavirus: Wild animals enjoy freedom of a quieter world ”