ベンガルヤマネコと田んぼ | WilCoLa
FIELD NOTES — ミャンマー

WilCoLaはスナドリネコ(Prionailurus viverrinusの保全活動を中心に取り組んでいます。しかし、スナドリネコが暮らす湿地や田んぼには、ベンガルヤマネコ(Prionailurus bengalensisをはじめ、多くの野生動物も生息しています。本記事では田んぼを利用するベンガルヤマネコについて紹介します。

ベンガルヤマネコと田んぼ ―

バングラデシュでは、スナドリネコとジャングルキャット(Felis chaus)が田んぼを利用していることが確認できました。一方で、ミャンマーでは、まだ研究地域においてネコ科が田んぼを利用していることが確認できていません。この違いは、ミャンマーでは魚の養殖池が比較的多く、スナドリネコが田んぼ以外の環境を利用している可能性も考えられます。また、まだまだ私たちの調査努力量が足りない可能性もあります。

その一方で、研究地域の農家の息子さんは、「年々増えていく農薬の使用量による生物への影響、そして、自分の村の人々への影響が心配だ」と話してくれました。現在WilCoLaは、人と野生動物、そして農業のつながりを子どもたちにも伝えられるよう、絵本の制作を進めています。

ベンガルヤマネコ Photo: Shutterstock

ベンガルヤマネコ

ミャンマーの田んぼ

ミャンマーの田んぼ

PICTURE BOOK — FIRST DRAFT

第一稿とベンガルヤマネコのイラスト

ベンガルヤマネコのイラスト(スケッチ)

絵本のスケッチ ※ベンガルヤマネコのイラストは尻尾の形が違うため描き直し中

In a small paddy field at the edge of the forest, a leopard cat named "Mg Kyar" lived. Every night, he caught and ate mice, making him a helpful wild friend to the farmers.

森のそばにある小さな田んぼに、「ミャ・チャー(Mg Kyar)」という名前のベンガルヤマネコが暮らしていました。ミャ・チャーは毎晩、田んぼでネズミを捕まえて食べていました。農家にとっては田を荒らすネズミを食べてくれる頼もしい野生の友達でした。

One day, the farmers began using more pesticides and herbicides to increase their rice harvest. At first, it seemed to work well, but soon insects, frogs, and snakes began to disappear, and Mg Kyar's food chain was broken.

ある日、農家は米の収穫量を増やすため、これまでより多くの農薬や除草剤を使うようになりました。最初は効果があるように見えましたが、昆虫やカエル、ヘビが姿を消し始め、ミャ・チャーの食べ物のつながり(食物連鎖)が少しずつ壊れていきました。

Besides, pesticide residues remained in the paddy field, and there was also a risk to human health when people ate the rice. One night, Mg Kyar looked over the silent field and remembered how lively nature had once been there.

さらに、農薬は田んぼに残り、人がそのお米を食べることで健康への影響が生じる可能性もあります。静かになった田んぼを見つめながら、ミャ・チャーは、かつてそこにあった豊かな自然を思い出しました。

Mg Kyar learned that when one creature disappears from nature, it is not just one life that is lost. In the end, it can affect everyone, including humans.

一つの生き物が自然からいなくなることは、その命だけの問題ではなく、最後には人間を含めたすべての生き物へ影響が及ぶことを知るのでした。

絵本の文章(第一稿)

絵本の文章(第一稿)

PADDY FIELDS IN MYANMAR

ミャンマーの田んぼ

ミャンマーの田んぼは私たち日本人とも無関係ではありません。

昨年度のコメ不足の際、日本は2024年の95倍以上の量を輸入し、その量は1999年以降で最大とされ、その中にはミャンマーからの輸入も含まれています(Sawabayashi 2026)。私たちが主に活動している地域は、ミャンマーの中でも有数のコメの生産地域であり、多くの人々が農業によって生計を立てています。

一方で、生産性向上を目的とした農薬(殺虫剤、除草剤、殺菌剤)への依存が高まると、田んぼの生きものに深刻な影響を及ぼす可能性があります。
これらの農薬の過剰利用は田んぼを利用する生物に影響を与えるだけでなく、農薬を散布する農家さんの健康リスクも懸念されています。

THE CHAIN OF IMPACT ── 農薬使用がもたらす影響の連鎖
農薬・除草剤の
使用量が増加
魚類昆虫・両生類などへの影響
スナドリネコ・
ベンガルヤマネコなど捕食者への影響
絶滅危惧種の生息環境の劣化

その結果、水田を利用する鳥類、両生類、魚類なども捕食するスナドリネコや、ベンガルヤマネコの生息環境や 生物種の関係も変化してしまいます。

田んぼの生きもの Photo: Shutterstock

日本はミャンマーから様々な食料を輸入しています。そして、その農業や漁業を支える健全な生態系もまた、私たちが未来へ受け継ぐべき大切な資源です。スナドリネコやベンガルヤマネコが暮らせる環境を守ることは、人と自然が共生できる農業や食の未来を考えることにもつながります。

REFERENCES

参考文献

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